“誰とも繋がらないアプリ”として話題になっている『Binky』。開発者のDan Kurtzさんは『はじめは冗談でつくった』そうですが、コンセプトが面白くジワジワと知名度が高まっています。まだ日本語対応もしていないことから、日本でどこまで流行るからは未知数ですが、実際にアプリをインストールして使ってみた感想を書いていきます。
『Binky』の意味と目的
Binkyの最大の特徴は、全ての動作になんの意味ももたないこと。そう、つまりこのアプリはMyアカウントもない、友だち申請も必要ない、誰に公開されるわけでもない、ただただ暇つぶしと自己満のためだけに存在しているというところに独自性があります。
そもそも、『binky』という単語は赤ちゃん言葉で『おもちゃ』という意味があります。日本語でいうと『おしゃぶり』くらいが1番しっくりくる和訳ですかね。Binky開発者のDan Kurtzさんは、ただ意味もなくスマホを片手に持って親指を動かす動作が癖になってしまっている現代人のために、ジョークでつくったとインタビューで語っています。
アプリってジョークでつくれるんですね。私もつくりたい。
現代人の暇つぶしのためだけにつくられたBinkyは、基本的に上下左右のフリック動作をメインに動作環境がつくられています。特に意味のない画像が大量にタイムラインに流れてくる仕組みは、『Pinterest』でもないし『Instagram』でもない独特の魅力があります。
SNSへのストレスを感じる若者に人気が出そう?
今のところ、開発者であるDan Kurtzさんがまったくもってビジネス要素を組み込んではいないアプリなので、これからの動向が楽しみでもあります。Binkyは『誰ともつながる必要のないSNS』という立ち位置なので、SNS疲れをした若者を中心にジワジワと人気が広まりそうな予感。
更におもしろいのが、タイムラインに特になんの意味もない写真が無数に並んでいることで、その写真のひとつひとつにコメントをつけたり、いいね!をしたり、リツイートよろしく『Rebing』ができたりします。もちろん、どんなコメントをつけたとしても誰にも公開されるわけではありません。
詳しくはまたあとでお話しますが、タイムラインに流れてくる写真の一例をご紹介しますね。
『Elbow』って……(笑)『Elbow』って…。知ってる…。
こんな感じで、徒然なるままにタイムラインに流れてくる写真に対してなんらかのコメントや反応を起こすというだけのアプリ。
ここまで意味がないと需要もなさそうなものですが、用途は『スマホをいじいじすること』なので、おそらくユーザー側もそこらへんは深く考えすぎないほうが良いのでしょう。
そもそも現代の若者は(若者だけに限らず)、SNSに対して非常に強いストレスを感じるようになってきています。誰かが結婚した〜子供ができた〜海外旅行行った〜などのように、自ら掴みに行ったわけでもない情報が入ってくることで不要に精神をかき乱されるというのは、誰しも一度は経験があると思います。どんなに気にしまいと思っていても、ひとと比べてしまうのもまた人間の本望です。
SNSの良いところは、オンライン上であらゆる人と繋がっていられることですが、度が過ぎるとそれもストレスや苦痛の種になることがあります。そういう意味では『アンチSNS』と呼ばれる人達がいるのも納得。そういう人々にとっては、今回のBinkyのような『誰ともつながらないSNS』の存在は救世主とも言えるのではないでしょうか。
Binkyの使い方
さてここからは、実際に『Binky』の使い方を解説していきたいと思います。今のところ非常にシンプルな構造になっているので、説明も要らないくらいなのですが、なんとなーくでも伝えられたらなと思います。
まず、AppStoreにて『Binky』をダウンロードします。
(iOS版はこちらから)
ダウンロードできたら、立ち上げるとすぐに開始することができます。
現行のバージョンではログイン機能もないし、連絡先との連携等も必要ないので手軽に始めることができます。この点もメリットですよね。
Binkyを立ち上げるとこんな感じで特に意味はない画像がずら~っと並んでいます。
各画像の下に、『星マーク』『コメントマーク』『Rebinkマーク』が設置されています。
ひとつひとつ紹介していきます。
1.星マーク
『星マーク』はいわゆるイイネ!ボタンだと思ってもらって大丈夫です。
星をクリックすると、画面いっぱいに星が散りばめられます。しかしFacebookなどとは違い、イイネ!履歴も残らなければ誰かに通知されることもない。ただのイイネ!です。
なので、タイムライン上に流れてきた画像のなかで『これは良いなぁ』と思ったものがあれば、どんどんイイネ!していきましょう。
2.コメントマーク
続いては真ん中のコメントマークについてです。こちらをクリックすると、気になった画像に対してひとりごと的なノリでコメントができます。まだアプリが日本語対応をしていないので、ここは英語でしか書き込むことができません・外国人になったつもりでコメントしていきましょう。
そしてこのコメントも、Twitterとは違ってマイアカウントの履歴にも残らず、誰に見られるわけでもありません。なので暴言を吐いても大丈夫です。ストレスが溜まったらなにかの画像に向けて不満をぶちまけてみてください。多分スッキリすると思います。
3.Rebinkマーク
最後、1番右にあるのは『Rebink』と呼ばれるBinky特有の機能です。用途はリツイートと同じと考えて良いでしょう。つまり、『この画像をぜひ誰かに見せたい!』と思ったらリツイートするノリで“Rebink”しましょう。もちろん、誰に共有されるわけでもないので気軽にRebinkしてください。もはやRebinknの意味が段々分からなくなってきていると思いますが、そういうルールなので受け入れてください。
そして、Rebinkボタンを押すと上のように確認画面が表示されます。『本当にRebinkしちゃっていいんですか?別になにも起きませんけど。』って正直に言ってくれます。なにも起きないからこそ、本当にRebinkしても良いかどうか再確認が必要という考え方もありますね。
では、見本を見せます。『Waiting Room』という画像が流れてきたので、Rebinkしてみます!
はい!いっぱいイイネ!が降ってきました。
いや、その前に『Waiting Room』ってシュールすぎるでしょ。
この他にも、Binkyで画像を見ていると思いの外シュールな作品をたくさん見つけることができます。
キムチ、知ってる。
ネックも知ってる。こころなしか腫れてる。
へ、ヘアーアイロン…?どこらへん…が…?
二日酔い。ていうよりも気になる点が多々ある。
フルート。よりもプロバスケットボール選手みたいな人のほうが気になる。
シューズ。いや、シューズをアピールするよりも先に伝えるべきことがあると思う。
ってな感じでずっとひとりでツッコんで遊んでたら、『あれ?もしかしてBinkyってこれが正規の使い方なんじゃない?』って思ってきました。それぞれに合った遊び方ができるBinky!!これはすごい。
さらにさらに…
では、次に小技を紹介します。各々の画像について、マイナスのイメージもしくは評価が低い場合は左にフリック。
するとこんな感じで、マイナスのイメージスタンプが表示されます。
逆に、良いイメージもしくは高く評価したい場合は、右フリック。すると今度は、プラスイメージのスタンプが表示されます。これらのスタンプは毎回同じなのではなくて、コロコロ変わるので飽きません。
こんな感じで、ただダーっと画像を見て暇つぶししても良いし、私のようにツッコミを入れながら見ていっても良いし、はたまた左右にフリックして評価をつけていっても構いません。
自由度の高い遊び方ができるので、ぜひ色々と試してみてくださいねー。
最後に
さて、今回は『誰ともつながらないSNSアプリBinky』について紹介してきました。Facebook、Twitter、Instagramというシェア型SNSとは違い、完全に自分の世界だけで完結するSNSが登場しましたね。
まだ開発段階なのでツッコミどころ満載ですが、個人的には『誰ともつながらないSNS』というコンセプトは素晴らしいなと思いました。その時どきに思ったことを書き込む、という点ではTwitterがその役割を果たしていますが、Twitterは本来ネット上に持論を公開するようなシステムなので、本音では書けないというデメリットがありますね。
しかし、Binkyのように『絶対に誰にも見られない』という安心感かつ『なんでも好きにつぶやける』というのは斬新だし、需要もあるのではないかと思います。せめて、過去に自分がつぶやいたことが見られるくらいの履歴機能があると、一行日記的な感覚で書き溜めることができるので良いかもしれないですね。