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藤村正宏さん著作『安売りするな!「価値」を売れ!』の感想|個性を発信する時代において

藤村正宏さん著作『安売りするな!「価値」を売れ!』の新版を読了しました。ビジネス書の類って文章が難しくて読むのに時間がかかったりするのですが、こちらの本はすごく読みやすくてサクサク進めることができました。普段あまり読書慣れしていない方にもオススメしたい一冊です。

キーワードとなる“エクスペリエンス・マーケティング”とは?

本著では、大きなキーワードとして『エクスペリエンス・マーケティング』という単語がたくさん出てきます。エクスペリエンス・マーケティングとは一言で言うと、モノではなく体験を売る、というひとつのマーケティング概念です。

例えばですが、新しい価値を生み出し世界を席巻した商品といえばまず真っ先に思い浮かぶのは、iPhoneですね。iPhoneの登場により、世界中の人達の生き方が変わったといっても過言ではありません。しかし、Appleがあの時代に圧倒的に優れていた理由は、『iPhone』という商品ではなく『iPhoneのあるライフスタイル』を売ったところにあると言われています。

iPhoneは、商品の細かなスペックや機能で競合他社に打ち勝ったわけではなく、洗練されてスタイリッシュなデザイン性のあるスマートフォンという機械を持ち歩き、いつでもどこでもインターネットに接続したり、ゲームやSNS、音楽などありとあらゆるものを手のひらに収めるというコンセプト。つまり『iPhoneを買ったあとの体験』を売ったわけです。

さて、ここで生まれてくる疑問。それは、なぜiPhoneは体験を売ったことで世界的大ヒットが実現したの?それを丁寧に解説してくれるのが、藤村正宏さんの『安売りするな!「価値」を売れ!』です。ではでは、ここから概要をまとめていきます。藤村正宏さんの『安売りするな!「価値」を売れ!』のご購入はこちらからどうぞ。

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SNS時代のマーケティング

藤村さんの提唱する『エクスペリエンス・マーケティング』とは、体験を売るというマーケティング手法です。これを実現するのは、スマホとSNSの普及。この2つのツールのおかげで、今や誰がどこにいても自分自身を発信できるようになりました。

この『発信』をマーケティングに応用し、体系化したものを『エクスペリエンス・マーケティング』といいます。SNSを使って個を発信することで、『商品が欲しい』ではなく『あなたから買いたい』というビジネス展開ができるようになります。

今の時代、すべての商品はもはや高スペックで高機能、完全にコモディティ化しています。これだけ素晴らしいモノ達で溢れかえってる現代において、消費者はもはやなにを買えば良いか全く分からなくなっています。

これは私も経験があるのですが、今年仕事でアメリカとカナダに行った際に『せっかくだから一眼レフでも買おう』と思ってカメラ屋さんに行きましたが、驚くほど商品の違いが分からない(笑)私は写真家でもカメラマンでもなんでもないので、どうぞ違いがわからないんですよ。もっというと、見た目も対して変わらないじゃないですか。

これがカメラだけでなく、全ての商品に起こっていること。これをコモディティ化といいます。生まれたときから良いモノに囲まれて育ってきた私たちは、もうスペックに大差がないことは分かっているので、もはやなんでも良いから『その商品を買う理由』が欲しいんです。

『その商品を買う理由』を”提供してあげる”のがまさにSNS時代のエクスペリエンス・マーケティングです。ぜひここから解説する5つのポイントを参考にしてみてくださいね!

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1.「ゆるやかな関係性」

SNSを使うことで、いつどこにいようとも多数の方に向けて発信ができるようになりました。Twitter、Facebook、インスタグラム、ブログなど各種媒体をうまく利用したり、HPや紙媒体、メールなどを用いた360度発信を心がけていきましょう。

ここで抑えておきたいのが、基本的に売り込みや宣伝は嫌われるということ。せっかくフォローしてくれた方に対して高頻度で宣伝を繰り返すなどの行為は信頼感の喪失につながるのでやめておきたいですね。

SNSやブログなどを使って発信をする目的は基本的に

  • ゆるやかに繋がっておくこと
  • 発信者であるあなた自身をより知ってもらうこと
  • 信頼関係の構築

の3つです。フォロワーになってくださった方がすぐにあなたの商品が欲しいわけではないので、買ってもらうことを急いじゃダメなんですね。大事なことは、ゆるやかに繋がって信頼関係を構築し、なにかのタイミングで『あ、そういえばあの人がいたな』って思い出してもらうことです。

2.「個を出す」

SNSは個性を出しやすいメディア媒体だと思います。『個性を出しやすい』というだけに焦点を当てれば、Twitterやインスタグラムは特にそうかもしれませんね。

先程のコモディティ化の話とも通じる部分がありますが、今やすべての商品そのものにはもはや大差がありません。カメラを買おうとしたところで、メーカーもたくさんあるし、バージョン?もたくさんあるし、機能やスペックの記載を見てもこちとらど素人ですからなんにもわかりゃしない…。

だからこそ、なにを買うか?よりも、誰から買うか?のほうがよっぽど大切な『購入動機』になってくるわけです。私もカメラ屋さんで結局1時間くらいフラついていて、それを見かねた店員のおじいちゃんがオススメしてくれた一眼レフカメラで即決しましたからね。高かったけど。おじいちゃんになんの思い入れもなかったけど。

カメラが欲しいのは分かっているけど、なにを買えば良いか分からない!ってときに、なにかひとつでも秀でた購入動機があれば、人って案外即決するものです。あなたがSNSで普段から発信を続け、誰かの記憶の片隅に存在していたとしたらなにかの拍子に『どうせならあの人から買おう』って思ってもらえる。

エクスペリエンス・マーケティングってそういうものなのかもしれません。

3.「好き・楽しい」という価値

本全体的にすごく面白かったですが、この章は特に面白かったです。「好き」を全面的に発信し続けた結果、発信者に圧倒的なブランディングが確立して有り得ないほどファンがつき、ビジネスを成功させている事例をたくさん見ることができました。

例えば、超サッカー好きな美容院の経営者の方が、完全に振り切ってサッカー好きを全面的に表に出していったら、サッカーファンがたくさんクライアントさんになって、今や週2回の出勤になり、当のご本人はサッカーイベントや取材、記事の執筆、マーケティングコンサルなどのお仕事をされているそうです。これはすごい!!

私も今までは、『好きなことを発信しよう』というのはなんとなく頭では分かっていたのですが、好きなことといってもさすがに仕事とある程度直結していないとダメなような気がしていたんですね。だから、『好きなこと発信しようっていっても難しいなあ』とか思っていたんですが…

サッカー好き×美容室さんとか、ジャズ好き×行政書士さんとか…本業とまったく関係のないことで『好き』を思いっきり前に出してビジネスを成功させている事例は圧巻です。『あ、こういう感じで良いんだ…!』と思えると行動に移しやすくなります。

私も、サイコパス映画が好きなことをもっと全面に出していこうかな…笑

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4.「編集」という価値

ここでのキーワードは、『フィルター』です。あなたがなにかを発信するときには、あなたというフィルターを通して発信しよう、ってことです。この解釈が合っているかどうかは分からないですが、私は『世の中に溢れかえっている抽象概念を、自分の言葉で語る』ということがすごく重要だと思っています。

たとえばですが、『良い人生にしましょう!』って言葉があったとします。でもこれって当たり前ですよね。そんなことは、言われなくても誰もができるもんならそうしたいと思っている。このセリフをあなたが発したところで、一体誰に響くのでしょうか?

こういったコモディティ化してしまっている状態に、自分のフィルターを通す(自分の言葉で語る)ことで『良い人生』の定義が決まってきます。

たとえば、『メディア集客を学ぶことは誰かに感謝されるということ。それがあなたのライフワークになります。』という言葉に置き換えると、本質的には『良い人生にしましょう!』と同義のメッセージだとしても、そこには『メディア運営を学ぼうよ』というあなた独自のメッセージが加わります。

そうやって、一見溢れかえった言葉や情報だったとしても、『自分』というフィルターを通すことで独自性の高い発信を心がけていきたいですね。

5.「逸脱する」という価値

ここでいう逸脱とは、『常識に縛られないこと』を指します。これは堀江さんも言っていることですが、私達が生きるこの時代は、もはや想像の域をはるかに越えたイノベーションが起こり、そしてそれらは日夜アップデートを重ねています。

私が高校生くらいまでは携帯電話は確かにどんどん小さくなり、確かiPhoneに乗り換えるまえはドコモのスライド式の携帯電話を使っていました。『これからもっともっと薄くなるのだろうなあ…』くらいの予想はしていましたが、まさかボタンもついていない&薄っぺらい&なんでもできるスマートフォンなどというものが登場するなんて、誰が想像できたでしょうか?

あれからたった4,5年で更にスマートフォンは進化し、今や地図も持ち歩かなくてよい(地図アプリ)、財布も持たなくて良い(Apple Pay)、本も持ち歩かなくて良い(電子書籍)、本当にそんな時代になってしまいました。だからこそ、もうこの時代の前につくられた常識なんてほとんど通用しないと言って良い。

AIやIoTの発達によって今後さらなる革命が起こるかと思うと、恐怖さえ覚えるレベルで私達を取り囲む環境は変わっていきます。それはマーケティングもまったく一緒。一昔前のマス・マーケティング思考を捨てられていない人はまだたくさんいるし、未だにツールを使って無作為にフォロワーをただ増やそうとする人もいます。

先人のやり方を守ったり真似たりするのは勿論良いことですが、『これはもっと良いやり方があるんじゃないか?』『少し古い手法なんじゃないか?』『もっと効率の良い方法があるのではないか?』と疑ってみることで、より自分らしさが育まれていきます。

最後に

最後までご覧いただきありがとうございました。今回は藤村正宏さんの『安売りするな!「価値」を売れ!』のまとめと内容を受けて私なりに学んだことを書いていきました。

総じてSNS発信をうまく活用することで、フォロワーの方々と良い関係づくりをしていきましょう、というのがおおまかな本のまとめになります。

  1. 「ゆるやかな関係性」
  2. 「個を出す」
  3. 「好き・楽しい」という価値
  4. 「編集」という価値
  5. 「逸脱する」という価値

以上の5つのポイントを意識しながら、個性的な発信ができるよう心がけてみましょう!

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