先日、たまたまお店でかりゆし58の「アンマー」が流れてきました。この歌って不屈のロングセラーだと思うのですが、「なぜこんなにも多くの人の心を打つのだろうか?」と考えてみました。今日はそのお話をしていきたいと思います。
かりゆし58の大ヒット曲「アンマー」
かりゆし58とは、沖縄出身の男性4人組グループです。2009年にリリースされた代表作「アンマー」は大ヒットを記録し、7年経った今でも万人に愛されている名曲です。
「知らなかった!」という方はぜひYoutubeで見てみてくださいね。良かったら、歌詞などもとても良いのでよく聞いてみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=4_OKI91h3tw
この曲、物凄く、心を打たれませんか?PVももちろん良いのですが、曲だけでも充分。なんでこんなに大ヒット&ロングセラーなんだろう?と、真剣に考えてみました。
歌だけではなく、なんでもそうなんですが、売れ続けているものには必ず理由があります。本でも同じことが言えて、本当に良質な本は何十年も読まれ続けます。ビジネス書でいうと
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- ユダヤ人大富豪の教え
- 7つの習慣
- 影響力の武器
- 思考は現実化する
- 金持ち父さん、貧乏父さん
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などですね。耳にしたことがあるタイトルもあるのではないでしょうか?書かれたのは何十年も前だったりするのに、今だに読まれているのって、普通に考えるとすごいですよね。アーティストに関しても同じことが言えます。
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- マイケルジャクソン
- ビートルズ
- ビヨンセ
- ホイットニーヒューストン
- マドンナ
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上のような超有名アーティストだと、もう何十年も前につくられた楽曲でも今だに世界中で絶大な影響力をもっています。極端にいえば、世の中には
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- 時代によって売れる商品
- 時代に関係なく売れ続ける商品
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この2種類の商品しかありません。長く売れている商品というのは、“流行”に左右されない普遍的な欲求を満たしているわけです。そしてこの「普遍的な需要」とは、人間の不変の心理を表すものだと思います。例えば、人間が感動するストーリーの流れは
・順風満帆な日々
↓
・トラブル、問題発生
↓
・勇気を出してトラブルに立ち向かう
↓
・解決
↓
・成長
↓
・穏やかな日々の再来
のようなストーリーが普遍的に人々の心を打つわけですが。これを、「神話の法則」といいます。神話の法則については以下の記事を参考に。
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ずっと平穏な日々を描いていても、もしくはトラブルばかりを描いていても人の心を打つことはできない。上のような起承転結的なストーリー展開をもたせることで、見ている人・聴いている人に感動を与えられるのですね。
日曜の朝にやっている戦隊シリーズも、このパターンで物語が展開されていますし、ハリウッド映画に関してもこの王道のストーリーの法則から外れることなく今でも映画が作られ続けています。
こんな風に、時代や文化に関係なく人々の心を打つパターンが存在し、長く売れ続けている商品なんかをよく観察すると大抵、きちんとした理由があったりするものです。
「アンマー」が名曲である理由。
とまあ、前置きが長くなってしまいましたが、かりゆし58のアンマーを聞きながら私が感じた「この歌が名曲である理由」は、大きく3つです。
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- ストーリー性
- 情景描写
- ペルソナ戦略
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です。上から順番に説明していきます。
(1)ストーリー性
「アンマー」はせいぜい5分程度の楽曲ですが、とても分かりやすいストーリーで描かれています。
沖縄で生まれる
↓
母の愛情を受けて育つ
↓
思春期にグレてトラブルばかり起こす
↓
自分の弱さに気が付き更生する
↓
自分にも子供が生まれる
↓
母の好きな花の名前を我が子に命名する
先程ご紹介した、“普遍的に人々の心を打つ”ストーリーに沿ってつくられているのがお分かりでしょうか。これだけでも、聞いている人に感動を与えることができています。
(2)鮮明な情景描写
続いて、(2)の“情景描写“ですが、これは、実際に歌詞を見ていただけると分かりやすいです。
・初夏の晴れた昼下がり
・真夜中の静けさの中
・まだ薄暗い朝の街
・木漏れ日のようなぬくもり
・深い海のような優しさ
・八重瀬岳の夕陽
・春先の穏やかな朝
などなど。このように、「アンマー」の歌詞のなかには繊細な情景描写が散りばめられています。
「夏」ではなく
「初夏の晴れた昼下がり」だったり。
「春」ではなく
「春先の穏やかな朝」だったり。
「朝」ではなく
「まだ薄暗い朝の街」だったり。
このような書き方をするだけで、季節・時間帯・気温が伝わってくるんですよね。五感が刺激され、あたかもその場にいるような感覚に陥ります。なので、この曲を聞いた人がスッと物語のなかに引きこまれていくんですね。
(1)のストーリー性とも、非常に相性が良いのが、(2)の情景描写です。
(3)ペルソナ戦略
最後に(3)の“ペルソナ戦略”なのですが、これも、マーケティングテクニックのひとつです。予備知識としては、以下の記事を読んでいただければと思います。
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ペルソナ戦略とは、簡単に言うと「ある特定の人物に訴えかけることで、商品の訴求力が全体的に向上する」という意味です。つまり、商品を販売するとき(つくるとき)には、具体的な1人の人物に訴えるように宣伝していかなければならないのです。
商品を販売するときというのは、できるだけ色々な方に買って欲しいので、つい誰でも彼でもターゲットにしてしまいがちです。誰もが使い勝手の良い商品とか、誰の心にも刺さるPRをつい考えてしまうんですね。
でも、現実は「誰もが使い勝手の良い商品」とは、「誰にとっても使い勝手の良くない商品」であり、「誰の心にも刺さるPR」とは、「誰の心にも刺さらないPR」なのです。
結果的にそれは、“誰にも必要のない商品“となってしまいます。そのことを、私たちマーケターは理解しなければなりません。
そして、そうならないためには、必ず、ターゲットを特定の1人に絞ることが必要です。
ペルソナ戦略を用いて「特定の誰か1人」に強く訴えかけることで、誰の心にも訴えかけることのできる訴求力の強い商品やPRが出来あがるわけです。「アンマー」では、まさに徹底的にペルソナ戦略を用いていることが分かりますね。
この楽曲は、ボーカルの前川真悟さんが実のお母様に向けて作詞作曲した楽曲です。ストーリーそのものも実話ですし、情景描写なんかも超個人的なものが多いですよね(笑)だからこそ、人々の心を打つ作品に出来上がったのだと思います。
誰かの心に訴えたいのならば。誰か1人の心に訴えかけるべし。
まとめ
最後までご覧いただきありがとうございました。今回はかりゆし58の「アンマー」から、3つのマーケティング戦略を学びました。
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- ストーリー性
- 情景描写
- ペルソナ戦略
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この3つのマーケティング要素がきれいに使われている「アンマー」は間違いなくロングセラーであり、万人から愛され、歌われ続けるのには、きちんとした理由があることが分かりました。
そのなかでも特にペルソナ戦略は、ビジネスだけにとどまらず良き人生を歩むためにもぜひ意識できることなんじゃないかなと。それでは、今回はここで失礼します。