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なぜ「怖い絵展」はあんなにも人気だったのか?マーケティングの観点から考えてみた。

11月なかば、上野の森美術館で開催中の「怖い絵展」に行ってきました。朝一で行ってきましたが60分待ちという人気ぶり。さらに、来場者数はどんどん伸びていき、開館1ヶ月で開館時間の延長をしましたが、それでも毎日1時間半以上の入場待ちが発生するなど、かなりの来場者数を記録したそうです。そんな「怖い絵展」の大盛況から、私達が学べることはなんでしょうか。

怖い絵展はなぜこんなにも人気を博したのか。

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2017年10月7日から12月17日まで東京・上野の森美術館で開催された「怖い絵展」。一見ネガティブともとれるネーミングのこの展示会は、計41万4006人の来場者数を記録しました。ちなみに、東京に先立ち同年7月~9月に開催された兵庫県立美術館では、入場者数27万人以上を動員し、こちらも開館以来、歴代3位を記録したそうです。

さらに来場者のうち「30代以下」が約6割「初めて来館した」という人が半数有料の音声ガイドの利用率が45%を超えるなど、全体として怖い絵展への興味の深奥さがうかがえる結果となりました。

さて、私も11月に友人と「怖い絵展」に行ってきたのですが、マーケティング目線で色々と勉強になることがあったので、私なりに感じたことをシェアしていきます。

1.シンプルなネーミング

まず今回「怖い絵展」の勝因のひとつの要素として、ネーミングがシンプルで分かりやすかったという点が挙げられると思います。

2017年に上野の森美術館で開催された展示会のうち、来場者数が多かったのは1位「ミュシャ展」、2位「国宝」展、3位「運慶」展。ひとつだけ言えることは、ミュシャ展、国宝展と言われても興味は湧かないけれども、「怖い絵展」と言われると反応してしまいます。

これは、私だけではなく私の周りの友人達も口を揃えて言ってました。

さらに来場者のうち「30代以下」が約6割、「初めて来館した」という人が半数弱

このような点からも、それは如実に表れているのではないかと。

私の場合は、普段展示会や美術館などはあまり行かないし、すごく興味があるわけではないけれども、駅の中吊り広告で怖い絵展の宣言ポスターを見たときには胸が高鳴りました。

Twitterで呟いたところ、おなじように感じていた友人が反応してくれて、即座に「一緒に見に行こう」という流れに。怖い絵展の来場者のなかにはきっと至るところでこんなムーブメントが起きていたのではないかと思います。

さて、ではなぜ「シンプルなネーミング」がここまでウケたのか?というお話もすこし。

[memo title=”MEMO”](前提として、すべての展示会が「初心者層」をターゲットにしている訳ではないことも先にことわっておきます。「怖い絵展」に関しては、ターゲットとマーケティングが合致したから成功した、という視点で聞いてもらえればと思います。)[/memo]

−無意識に複雑な情報をシャットダウンする人々

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テレビ、ブログ、あらゆる広告、その他メディア媒体、インターネット、SNS、多様化社会…最近思うのが、みんな情報疲れてきています。楽しいのだけど、無意識のうちに、疲れてきているんです。脳みそが常に疲れている状態。

だからこそ、「シンプル」「わかりやすい」「深く考えなくて良い」ものに目が意識がいってしまう。

多分、私も、駅で見かけた中吊り広告に「レディ・ジェーン・グレイの処刑と西洋絵画展」って書いてあったら、「ふう…」ってなってそこまでの興味は湧かなかったと思うんです。

「でた、専門用語」みたいな。

でも、すごくシンプルに「怖い絵展」と書いてあったから、「怖いんだあ。行ってみたいな。」と思えた。これは私のような展示会やアートにそこまで知識のない“ライトな顧客層”の心理をうまく突いたマーケティングだと感じました。

これから「情報過多の時代」のなかでビジネスをやっていく私達は、このへんの感覚をより磨かないといけないですね。自戒を込めて。

兎にも角にも、「集客ターゲット層の設定」と「ターゲットに響くマーケティング」を考え抜くことはとても大切です。

2.平和ボケ

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私達は「幸福世代」です。生まれたときからなに不自由ない生活を送り、世の中は便利で、なんでも揃っていました。中世西洋のような激しい男女差別、階級社会、飢え、戦争などもない。かといって、戦後のような「ナニもない状態から復活させた」体験もない。

幸福なんだけど、どこか物足りない。

私達って、そういう世代なんです。人は、幸福であることが幸福なのではありません。たぶん。あらゆる失敗や挫折、不安、葛藤、悩みを乗り越えて強くなり、暗闇のなかにみえた光や成長が、充実感と幸福感をもたらすものなのではないかと思う。

さすると、幸福世代の私達は、一体どれくらい幸福なのか?という疑問も生まれます。

私たちには、「幸福のなかからひとの不幸を垣間見たい」という潜在的な欲求があるらしいのです。戦争中に、「戦時中の悲惨な光景写真集」など売れるわけがない。怖い絵展が流行っているその背景には、幸福世代ならではの「怖いもの見たさ」が潜んでいます。

私たちのような若者は、「抗うことのできない運命」を見て、なにを感じるのでしょうか。ヨーロッパ近代絵画からはじまり、西洋絵画・版画、80点ほどの「怖い」作品とその歴史を見て、絶望感のなかに艶羨を見た方も少なくないはずです。

時代がどんどん効率的・便利・幸福に向かって進んでいくなかで、どのようなマーケティングをしていくべきなのか?と考えさせられます。

3.透明性

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「怖い絵展」では、有料の音声ガイドの利用率が45%を超えたそうです。私も使いました。

このガイドでは、すべての作品ではないものの、とても詳しく作品ができた背景や歴史について解説してくれています。これまで絵画やアートというのは、どこか謎めいているというか、「感じるもの」みたいな風潮があり、一部のマニアックな人向けのものという印象がありました。

少々とっつきずらいというか。

そのため、この展示会を主催した中野京子氏による丁寧なガイドは、初心者にとって有り難く、「何も分からない」状態から「世に残る芸術作品を鑑賞する」ための橋渡し的な役割、さらに、すべての絵画に透明性をもたらしたのではないかと、恐縮ながら思いました。

つまり、不透明なものよりも、透明性のあるものが好まれる時代なのだと思います。

インターネットの発達により情報が溢れかえるようになり、嘘や真実と異なる情報もまた溢れかえるようになりました。人は、「何」を、「誰」を信じて良いのか分からなくなっています。

だから、透明性の高いものを信じるしかなくなっています。

現に、メルセデスベンツを開発するAMG社が「メルセデスAMG」という自動車の最高級モデルのエンジンの製造過程をYoutubeにアップ。これまでトップシークレットだった舞台裏を突然公開したのです。

おなじような流れが、あらゆるラグジュアリーブランドでも起きています。ボッテガ・ヴェネタ、ヴァンクリーフ、フェンディなども。

それはなぜでしょうか?

消費者が表面的な美しさだけでなく、「中身」や「本質的な部分」を見て判断するようになっているからです。

これまで完全に非公開だった「世界最高級者のエンジンの製造過程」を公開することで「本当に職人がひとつひとつエンジンを手作りしているんだよ」という信頼を勝ち得たわけです。

世界を代表するラグジュアリーブランドのこのような動向から察するに、これからはあらゆるところで「透明性」が大事になってきます。一昔前のような神ブランド、秘匿性の高いモノやヒト、アートは売れなくなっていきます。

だからこそ今回、怖い絵展で「芸術作品を透明化」したことが、ひとつ勝因だったのではないか、と考えます。

4.アート

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なんの根拠もなく、日本はこれから、「アート」の時代になっていくと予想しています。今回の怖い絵展の盛況も、国民のアートに対する興味の片鱗が現れたものだと思っています。芸術はたぶん、一部の専門家ではなく一般にももっとライトな形で広まっていくでしょう。

日本人は国民性からして、アメリカのような商業国家ではなく、フランスのような芸術国家になっていくのではないかというのは私の勝手な推測です。

だから、単純に、「アート」が注目されるようになってきています。

これからビジネスをしていく私達は、間違っても「製品は良いのに見た目はダサい」とか「製品は良いのにパッケージがダサい」とか「製品は良いのにキャッチコピーがダサい」とか、あってはならない、ということです。

ひとの感性を高ぶらせるものが反応がとれるようになっていくので、より「デザイン性」が大事になってきます。

クオリティとデザインのバランスは難しいですが、できる限りかっこよくスタイリッシュなデザインを追求し、「アート」な感性を刺激するマーケティングをしていきましょう。

まとめ

今回は、上野で開催された「怖い絵展」の盛況から4つの「マーケティング目線でみた怖い絵展が人気だった理由」を解説してきました。簡単にまとめてみます。

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  1. シンプルなネーミング
  2. 平和ボケ
  3. 透明性
  4. アート

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ぜひひとつひとつをなんとなく吸収していただいて、今後のマーケティングの参考にしていただけたらと思います。

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